航空機エンジニア KOH’s Room

航空機エンジニアが飛行機のことや思ったことなどを書いていくブログです。

飛行機内の空気は入れ替えられているのか??

新型コロナで世界中の航空会社が大変なことになっていますね。

 

飛行機の中は狭いですし、周りの人との距離も近いので、避けたくなる気持ちもよくわかります。

密閉空間で、空気の入れ替えもなされていないように思えますもんね。

 

そこで一つ質問です。

飛行機内では換気はなされないのでしょうか??

 

正解はNoです。

飛行機内の空気は常に入れ替えられています。

 

飛行機の客室は与圧されていて、機外から簡単に空気を取り入れることはできないので、エンジンからの高温・高圧の空気を取り入れ、それをちょうどよい温度に調整した上で客室内に取り入れています。

 

そして後方にアウトフローバルブというものがついていて、機内を適切な圧力に保ちつつ、空気を少しずつ外に出しています。

 

これらにより、飛行機内の空気は常に入れ替えられているのです。

換気がなされているからと言って、新型コロナウイルスに感染しないわけではありませんが、換気という観点では飛行機はそれほど問題ではありません。

 

余談ですが、もしこのアウトフローバルブが故障したらどうなるでしょうか??

エンジンからどんどん空気は入ってくるのに、出口がふさがれてしまい、まるで風船を膨らませる時のようにパンパンになり、最後は破裂してしまいますよね??

それを避けるため、アウトフローバルブのほかにもう一つ、セーフティーバルブというものがついています。

一定以上の圧力になった時にはセーフティーバルブが作用して、機内の圧力が以上に高まることを防いでいるのです。

 

構造設計者としては、このセーフティーバルブが作用する圧力が繰り返し胴体に作用したとしても壊れないように、設計しています。