航空機エンジニア KOH’s Room

航空機エンジニアが飛行機のことや思ったことなどを書いていくブログです。

飛行機の上下方向に作用する力

飛行機には主に以下の4種類の力が作用しています。

・推力 : エンジンによって生み出される、前に進む力

・効力 : 空気などから受ける抵抗

・揚力 : 主翼によって生み出される上向きの力

・重力 : 物体に作用する下向きの力

 

この中で揚力と重力(上下方向の力)に着目してみます。

 

まず重力はいいですね。

地球上では誰しもが感じているように、物体は地球の中心、すなわち下向きに引っ張られています。

飛行機が地上に駐機していようと、空を飛んでいようと、重力は各部材に作用しています。

 

常に下向きの力が働いているので、空を飛ぶためには上向きの力が必要です。

これを生み出しているのが主翼です。

 

窓から主翼を見ていると、

地上にいる時には地上と平行に近いぐらいの位置に主翼がありますが、

加速し、離陸していくと、上向きに反っていくことが見て取れると思います。

これは加速によって主翼に揚力が発生し、上向きの力が作用して、主翼自身も上に持ち上げられるためです。

 

 

主翼が上に持ち上がるということを構造的に考えると、主翼の下側の部材は引っ張られ、主翼の上側の部材は圧縮されるということになります。

 

反対に胴体はどうでしょうか??

 

胴体では揚力は発生しません。

単に重力が作用するだけになります。(今回は与圧荷重などは省きます。)

 

つまり胴体に対しては下向きの力が作用するだけで、こちらも構造的に考えると、胴体の上側は引っ張られ、胴体の下側は圧縮されるということになります。

 

そのため、主翼の上側や胴体の下側は圧縮に強い材料、主翼の下側や胴体の上側では引っ張りに強い材料を用いるなどしたり、部材の形状や配置間隔を変えたりして、各場所に合わせて最適となる設計を考えていきます。

 

普段、キャビンや外から内部の構造部材配置を知ることはできませんが、一枚、外板を剥いでみると、そういったことを考えて設計がなされているのです。