強度と剛性の違い
航空機は必要な強度と剛性を保ちつつ、軽量に設計する必要があります。
ところで、この「強度」と「剛性」の違いってわかりますか??
どちらも強そうなイメージなんだけど、違いと言われるとどう説明したらよいかわからない・・・というのが過去の自分でした。
今日は強度と剛性の違いについて、簡単に説明します。
- 強度
「強度」を辞書で引いてみると、「強さのこと」と出ます。
そのまんまですね。
簡単に言い換えると、どんな力をかけたら壊れるかとなります。
どれぐらい引っ張ったらちぎれるか・・・
どれぐらい押したら凹むか・・・
どれぐらい曲げたら割れるか・・・
当然のことながら、飛行機が壊れないように、十分な強度をもって設計する必要があります。
ところで、蜘蛛の糸の強度は高いといえるでしょうか??
なかなかちぎれなさそうだけど、なんか強いイメージとは違うなと感じた方はいらっしゃいましたか??
正解ですが、蜘蛛の糸は高強度です。
では、その違和感は一体何でしょうか??
蜘蛛の糸は、高強度ですが、低剛性なのです。
- 剛性
こちらも同じく辞書で引いてみると、「物体が曲げ・ねじれなどによる破壊に耐える能力」と出ます。
あまり強度との違いがわかりませんね。
こちらも簡単に言い換えると、どのぐらい変形しづらいかとなります。
プラスチックの下敷きと、全く同じ形状の鉄の板、曲げた時に変形しづらいのはもちろん鉄ですよね??
それは鉄の方が剛性が高いからです。
(剛性は材料にもよりますが、ものの形にもよります。ぶ厚ければその分変形しづらいですよね。)
実際の飛行機では、剛性が低過ぎると変形が大きくなって他の部品と干渉してしまったり、その変形によって二次的な荷重が発生して部品が壊れたりする恐れがあります。
そのため、適切な変形量となるように剛性も考慮して設計する必要があります。
強度と剛性の違い、イメージできましたでしょうか??
この二つが高い材料を使えばいいじゃないかという声が聞こえてきそうですが、
この強度と剛性が高い材料ほど、密度が高い傾向にある、つまり重くなります。
重量を軽くすることが至上命題である飛行機にとっては、この材料選定は非常に悩ましい部分のなのです。
強度・剛性・密度のバランスを見ながら材料選定・部材配置などを考えて、飛行機は設計されていきます。