航空機エンジニア KOH’s Room

航空機エンジニアが飛行機のことや思ったことなどを書いていくブログです。

飛行機の設計には2種類ある

こんにちは。KOHです。

 

私も入社するまで知らなかったのですが、飛行機の設計には2種類あります。
1つは「開発設計」、そしてもう1つは「維持設計」です。
今日はそれぞれについて、簡単に説明します。

 

開発設計

一般的に言う設計です。

  • 市場調査結果や顧客要求に基づいて、飛行機の形、内部構造、システム等を決めていく
  • 構造設計者であれば、想定される荷重に対して効率的な構造を決め、解析・試験によって安全性を証明する
  • 民間航空機では開発した期待に対して認証機関から型式証明(Type Certification)を取得することが必要

簡単に言えば、安全にかつ燃費良く飛べるように飛行機の形を決める仕事ですね。

 

維持設計

あまり馴染みがないと思いますが、開発設計完了後に維持設計フェーズに移ります。

  • 生産過程で発生した不適合(図面要求を満足できなかったもの)に対する設計
  • 不適合の内容を確認し、機体の安全性を変わらず保証できるような修理・変更を実施する
  • また、低コスト化のための改善活動を実施していく

あまり胸を張って言える話ではないのですが、100万点とも言われる部品の全てを要求通りで製造することはかなり困難です。

そこで、当初の設計とは異なるけれども安全性を変わらず保証することで、製品として認めていこうという考え方になります。(設計変更に近いイメージですね)

これまた簡単に言えば、部品が多過ぎて全て完璧にはできないけど、上手く出来なかった部品も設計者がちゃんと確認して安全性を保証しますよということですね。

「飛行機なのに完璧じゃないなんて怖い!」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、ちゃんと設計者が確認していますのでご安心ください。 

 

以上、簡単ですが飛行機の開発設計と維持設計について説明してみました。

もし質問などありましたら、コメントいただければ可能な範囲で回答したいと思います。

 

それでは良いお年をお過ごしください。